レポート
第9回Ambassadors of Peace Network (APN)終了レポート
第9回世界平和の大使ネットワーク (Ambassadors of Peace Network: APN) は19か国・地域から170名の参加者を迎え、成功裏に終わりました。2017年4月23日(日)、EIC参加者とその家族、元キャンプリーダー/スタッフ、そしてゲストが新大阪の公文会館に集いました。APNが掲げた2017年の目標は次の通りです。
- 世界の諸問題を意識して社会に貢献できる、次世代のグローバルリーダー・市民を育成する。問題に対処しようとするときに直面する課題について学び、解決方法をともに考える。
- 他年度のEIC参加者と交流して、EICファミリーのネットワークを強化する。
- 夢や目標への取り組みを発表して、EIC参加者の進歩や成長を共有する。
- EIC後に参加できる、公文の活動やプログラムに関する情報を共有する。

「教育」をテーマとしてアクティビティを計画し、プログラムに組み入れました。プログラムの詳細は次の通りです。
1. グループタイム: “Adventure to School”
UNESCOによると、2016年時点で2億6300万人の子どもや若者が学校に通えませんでした(UNESCO, 2016)。グローバル市民として、このアクティビティの参加者は小グループに分かれ、世界の多くの子どもたちが教育にアクセスできない様々な理由が学べる、ボードゲームで競い合いました。ボードゲームのシンボルは、様々な指令を出します。たとえば、1組のファクトシートから1枚選び(リンク)、グループのメンバーに読まなければならないといった指令です。数組のシートがあり、それぞれが児童労働、ジェンダー不平等、地域特有の困難、健康&栄養、改善点 、貧困、戦争と、多くの子どもたちが教育にアクセスできない理由を示しています。

下記は、ファクトシートに印刷されている情報の一部です。
児童労働
① 2014年には、9800万人に上る5-17歳の少年少女たちが、農業や畜産、漁業などに従事していた。②児童労働の60%近くが農業で発生している。
ジェンダー不平等
①少女たちは教育で差別を経験することが多い。家できょうだいの世話をするか、家事をさせられている。②女性の非識字率が高い。20か国以上の発展途上国で、女性の非識字率は70%を超えている。
戦争
①戦争で殺された人々の中には子どもも多数含まれている。少年も少女も強制的に軍隊に入れられ、家族から引き離される。②2015年には、世界で10億人以上の子どもが紛争地に住んでいた。そのうち3億人は5歳未満だった。

下記は、参加者アンケートに書かれたコメントの一部です。
*グループタイムでAdventure to Schoolのゲームをして、一部の子どもたちが教育へアクセスできない理由やこの問題の要因を楽しく学ぶことができました。
* たくさんの子どもが学校に行けないことを知りました。お気に入りのアクティビティでした。
2. 元EIC参加者のプレゼンテーション
My Life after EICというテーマで、元EIC参加者3名が、自分たちの夢や目標、そして、それを達成するために、どのように取り組んできたかを発表しました。
富井 彩葉 EIC 2012 高1:My KUMON
彩葉さんは公文を10年間学習し、国語と英語の最終教材を修了して、中学入試に合格することができました。毎日楽しく学んで、新しいことをたくさん学びたいと思っていました。お気に入りの英語教材は「マチルダ」(公文式英語M教材)です。マチルダの両親は彼女の能力に気づかなかったのですが、マチルダは諦めずに図書館で本を読み続けたというお話で、彩葉さんはとても刺激を受けました。高校に入ってからとても忙しくなったという彼女自身の経験から、中学生になるまでに1教科修了するようにと、後輩たちにアドバイスしています。

津田 伊織 EIC 2011 高3:My Life in Switzerland

EICの後も、伊織さんは挑戦を続け、現在はスイス公文学園で学んでいます。国語と英語、そしてフランス語を同時に学習しています。スイスで素晴らしい時間を過ごしていますが、英語の勉強を続けていなければ、それは不可能だったでしょう。彼は後輩たちに、英語スキル向上を目指して、英語をどんどん学習するようにとアドバイスしています。現在、公文式英語のS教材(研究コース)を学習中で、上級英語を学ぶのにとても役に立っていると感じています。いおりさんはまた、カナダのトロントでホームステイをする機会があったため、英語スキルを高め、異文化について学び、日本の良さがわかるようになりました。これらの経験を通じて、彼は言語を学ぶ重要性を学びました。彼は直接参加することができなかったので、彼はプレゼンテーションのビデオを送ってくれました。
斉藤 七海 EIC 2012 高1:My Life after EIC
EICにチャレンジした後、ななみさんは中高生対象のKumon English Camp for Youth (KECY)に参加しました。KECYで彼女は英語や異文化理解にさらに興味を持つようになり、この2つに力を入れている高校に進学することにしました。プレゼンテーションでは、高校での経験について話しました。異文化理解、英会話、英語ディベートなど、特別なクラスがたくさんあるそうです。これらのクラスでは、生徒たちはすべて英語で、自分たちの気持ちについて話したり、プレゼンテーションをしたり、ディベートしたりします。英語で考えたり書いたりしなければならない宿題がたくさん出るので、ななみさんにとって大変なクラスです。

これらの経験を経て、彼女の英語の能力は著しく向上しました。彼女はまた、スポーツや外国語、ファッションなど多くのことに興味を持っていたり得意だったりする、日本に住むユニークな日本人と外国人のクラスメートについても話しました。この学校は、在籍する学生や海外の学生に対して、交換留学プログラムも提供しています。このような経験をして、彼女は興味があることには何でも挑戦するようになりました。通常のクラス以外では、ボランティアや異文化コミュニケーションを中心とする、International Action Clubに所属しています。EICやKECYで貴重な経験をして、彼女の日常生活やものの見方が変わりました。もし、自分の視点や日常生活を変えたいのであれば、興味を持ったものは何でも追求するべきだと、彼女はEICの仲間たちにアドバイスしています。
以下は、プレゼンテーションを聞いた参加者のコメント/感想の一部です
* 自分よりも年下の人が、自信満々でみんなの前で発表しているのを見て、素晴らしいと思いました。
* 公文式英語の大切さがわかってよかったです。
* みんないろんなことに挑戦していて、私も一生懸命頑張ろうと思いました。
* たくさんのプレゼンテーションを聞いて、私ももっと英語を話したいと思いました。
* 私と同じ目標を達成した人の話を聞くのは、とてもよい経験になりました。
* 私もいつか彼らのようになりたいです。今日、自分の目標の一つに気づきました。
3. ネットワークタイム:Human Islands
このアクティビティでは、年齢やEICの参加年度に関係なく、すべての参加者が交流することができました。全員起立して、公文ホールのすべての人が2つのグループ(AとB)に分かれました。司会がいくつかアイスブレーキングの質問をして、答えがYESであればAに、NO であればBに移動しました。それからいくつかの質問が続き、質問ごとに参加者は小グループを作って、決められた時間の間、与えられたトピックについて意見交換をしました。

4. ミッション:Build a School and Send All Your Kids to School
このアクティビティは、Adventure to Schoolのフォローアップ活動でした。世界の多くの子どもたちが教育への通常のアクセスを持っていない様々な理由を学んだあと、参加者は次のチャレンジとして、4つの村からの村人の役割を演じました。インタラクティブなゲームで、指定された4つの場所の一つに学校を建てることがミッションでした。
情報
地理上の位置:村の位置と、学校を建てることができる4か所を示している。

それぞれの村の特徴が書かれている


ステージ1
各世帯が住宅事情を共有する
三世帯が集まり、自分たちの村の状況を共有する
各村が学校を建てたい場所を決める
ミーティング1に出席する代表3名を決める
ミーティング1
→ 各村が、新しい学校に選んだ場所と、その理由を発表する
**ミーティング1のあと、各村はすべての村の情報シートを回収し、それぞれの村に戻る
ステージ2
各村で、他村からの情報を自分の村のメンバーと共有する
再度話し合い、新しい学校を建てたい場所を選ぶ
ミーティング2に出席する代表3名を選ぶ
ミーティング2
→各村が、新しい学校に選んだ場所と、その理由を発表する(推薦する場所を変更してもよいし、ステージ1で共有した場所と同じでもよい)。次に、各村からの代表と意見交換をする。ただし、ミーティング2では最終決定はしない。
**ミーティング2のあと、自分の村に帰って最終決定をする。
ステージ3
各村で、他村からの情報を自分の村のメンバーと共有する
再度話し合い、新しい学校を建てたい最終の場所を選ぶ
ミーティング3に出席する代表3名を選ぶ
ミーティング3
→ 各村が、新しい学校に選んだ最終の場所と、その理由を発表する。すべての村が同じ場所を選択できない場合は、オープンディスカッションを行う。この段階では、学校を建てる最善の場所を選択できるよう、お互い説得し合わなければならない。

全体のアクティビティ終了後、参加者は自分のグループに戻って簡単な振り返りの時間を持ち、学校の場所を決められたかどうかについての気持ちや、決断をするときに難しかったことを話し合いました。
参加者は意見交換をしながら、子どもたちが学校に行くのを妨げる、各村の問題の解決策を議論する機会がありました。このゲームは、参加者がこの国際問題について批判的に考えるスキルを高めたり、様々な地球問題を解決しようとするときに直面する問題について学んだりするのに役立ちました。
以下は、アクティビティ参加者のコメント/感想の一部です
* 今日はたくさんのことや、世界の多くの問題について学びました。ミッションBuild a Schoolでは、自分の考えをミーティングで話すことができました。
* いろんなことを考えて判断しなければならなかったので難しかったです。英語で自分の考えを説明することができました。
* ディスカッションをして、協力し合うことの大切さを理解することができました。
* 互いにかかわり合うことの大切さを感じました。学校に通えない子どもたちを支援する活動がしたいです。
* 他の人の意見を考慮することが、とても大切だと学びました。
* 私は問題なく学校に通えますが、世界には学校を建てるのがそれほど容易ではないところもあるのだと学びました。難しいアクティビティでしたが、本当に楽しかったです。
* 家族を助けなければならないために、学校に行けない子どもがたくさんいることを学びました。
5. クロージングスピーチ:大石 航太郎 高2 After Kumon English
EIC参加後、航太郎さんは私立の中高一貫校に進学しました。これらの学校での勉強は大変で、航太郎さんにとってもチャレンジでした。好きな科目である英語を伸ばすために、1年に1回、英検を受験することにし、リーディング力、リスニング力、スピーキング力を高めることができました。一生懸命勉強する一方で、彼は弓道部にも所属していました。中3のときにカナダに3週間留学しました。彼にとっては、人生の中で一番大変だった時期でした。英語ができないので他の生徒と話せず、多くの生徒と友だちになろうとはしたものの、それは彼にはとても難しいことでした。このような経験があって、彼はもっともっと英語を勉強する必要があることに気づき、目標として英検準1級を受験することに決めました。簡単ではありませんでしたが、彼は自分の目標を達成することができました。
こうたろうさんは、オーストラリアでの生活についても話しました(カナダの後で留学)。好きな科目は体育で、授業は大変でしたが、スポーツで友だちを作ることができました。日本の高校と違い、ほとんどの課題やテストは論述式です。また、クラス全員の前でプレゼンテーションをしなければならず、これは留学生にとっては、本当に大変なことでした。しかし、結果として、彼は英語を使ったコミュニケーション力を高めることができました。オーストラリア生活は楽ではなく、多くの努力が必要でしたが、いくつか趣味があったので楽しむことができました。たとえば、毎週土曜日は卓球の練習に通いました。競馬も趣味で、メルボルンカップに参加できたことは、彼にとって興味深い経験になりました。

最後に、彼は留学後の生活について話しました。日本の高校に入学して、英語力が非常に向上した一方で、数学力が下がっていることに気づきました。彼のいまのチャレンジは、どのようにして留学後も英語を伸ばし続けるかということです。そこで彼は、より大きな目標を設定しました。留学を希望する大学生の評価基準として用いられる、最も難しい英語テストの一つであるTOEFL iBTを受けることにしたのです。成績は73点で、彼も悪くはないと思ったのですが、まだ満足できていないので、これからも何度も受験する予定です。英検1級(英検で最終のテスト)も受験しましたが、2か月勉強しただけで合格することができました。彼はもっと時間がかかると思っていたので、夢がかなったかのように思いました。英検1級に合格するコツは、英語のリーディング、スピーキング、ライティング、そしてリスニングをたくさん練習することだそうです。
第一に、全参加者への彼からのメッセージは、できることはまず何でもやってみるということです。とても難しいことのように思えても、そう見えるほどには難しくないという場合が多くあります。よって、とにかく前に進んで、面白いと思ったものには何でも挑戦すべきです。第二に、夢をかなえるには努力が必要だということです。難しいことにように見えるかもしれません。こうたろうくんも同じでした。TOEFL iBTに向けて勉強は続けていましたが、良いスコアをとるのは無理だと思うこともあります。しかし彼は、自分ならできると信じています。英語や他の教科を勉強するのがつらいと感じるときには、あなたをサポートしてくれるEICファミリーがいます。良いアドバイスがあれば、あなたの夢はかなうでしょう。第三に、英語を勉強するうえで最も大切なのは、毎日学習するということです。毎日たくさんしなければならないのではなく、少しずつ勉強する必要があるのです。そして最後に、決してあきらめないことです。夢をかなえるのには時間がかかるかもしれませんが、決してあきらめてはなりません。大変なように思えますが、それが夢をかなえる最良の方法なのです。
以下は、スピーチ後の参加者のコメント/感想の一部です
* 何かをすることの大切さと、あきらめないことの大切さを学びました。
* 他の人たちの個人的な成長に感動しました。私もいつか、彼らのようになりたいです。
* ものすごく努力をされていてびっくりしました。感動しました。
* 私たち自身の未来を想像することができました。彼を誇りに思います。
参加者の感想
* プログラムがとてもおもしろく、APNはすごく楽しかったです。一番おもしろかったのは、ミッションBuild a Schoolでした。とてもよかったです。私にはとても難しかったのですが、学校に行きたいと思っている人たちのことを学びました。私はすごく簡単に学校に行くことができますが、彼らにとっては簡単ではありません。本当によくないことです。
* まず、EICファミリーのメンバーやキャンプリーダーに会えて、とてもうれしいです。私はEICのメンバーが大好きです。一番面白かったアクティビティは、ミッションBuild a Schoolでした。自分には思いつかなかった、素晴らしいアイデアを聞くことができました。たとえばお金を分け合うというのは簡単に聞こえますが、難しいことだと思います。もし、世界中の人たちがそのような意見を持てば、国際問題の大半がなくなるでしょう。EICファミリーに元気づけられました。これからは、英語を一生懸命学んで、絶対にやめないようにします。APNを開催していただき、ありがとうございました。
* 私はフランス語の学習を始めたばかりで、英語とフランス語の両方を使って、外国の人たちと関係のある仕事に就くことが私の夢です。私は大学1回生ですが、大学でもっともっとチャレンジしていこうと思います。今日のアクティビティに参加して、私の夢に対してさらにポジティブになれました。EICファミリーのように、何事にも一生懸命取り組んでいきます。
* 今日はとても楽しかったです。たくさんのことを学びました。たとえば、貧しい人と金持ちの人がいて、学校に通えない子どもがいるということです。私は学校に行けるので、とても幸せ者だと思います。十分食べることができて、日本は平和な国です。このまま平和が続いてほしいと思います。またAPNに参加したいです。



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